アメリカで野外調査をする難しさ③

アメリカで野外調査をする難しさ③

また随分と間があいてしまいました。日本に帰国したものの期末試験の採点と成績の提出に追われ、今日になってようやく少し余裕が持てました。

第三回目となるアメリカで野外調査をする難しさですが、今回は最終回ということで、前回お話した難しさにどう対応するかです。

まず一番確実なのは白人のパートナーと一緒に野外調査を行うことです。僕が地元ペンシルバニア州で調査に行く時には、同大学の環境センターに勤めている友人と出かける時があります。野外で人と話さなくてはならない時は、彼に話してもらうようにしています。彼はペンシルバニア州出身で、白人男性というアドバンテージにプラスして、アクセントも身のこなしも地元の人に受け入れられやすいので、話もスムーズに進みます。

アーカンソー州で博士号取得を目指しているジェン(もと僕の研究室のアジア系アメリカ人学生)も同じことを言っていました。彼女の研究室では「バディーシステム」と言って、一人では野外にでないこと(特に有色人種の女性)を指導されているそうです。

それでも一人で野外に出かけたり、学生を連れてでることがほとんどです。学生の中には白人学生がいますから、彼ら彼女らに対応してもらうこともあります。

自分で対応する時に心がけていることは、「なるべく相手の言語を話そうとすること」、です。

一度夜中に調査に行った時に、運悪く白人の若者3人が外でお酒を飲んでいる場に遭遇したことがありました。「何やってるの?」と興味津々に近づいてくる彼らに、仕方なしに「ビールトーク」で応じました(笑)。

「It is a beautiful night. What are you guys drinking? Oh, I love IPA too. New Trail is awesome」

みたいな感じで。ちなみに、New Trailは最近地元で人気のマイクロブルワリーです。ビール好きなのでこの手のネタには困りません。変なアジア人だけど、ビール好きだし、まぁいっかみたいな反応でした。

その他、釣りネタ、キノコネタは僕の得意分野で受けが良いです。相手と状況に合わせて相手の言語を話す。I try to speak their language so that they feel comfortable with me. ということです

最後は堂々としていること。有色人種だって野外調査をしたりアウトドアを楽しんだりする権利はもちろん同等に与えられているのですから。

ペンシルバニア州の典型的な農場の風景。こんなところに調査させてくださいと尋ねるのには相当の勇気がいる。

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