英語の壁は乗り越えられるのか?③

英語の壁は乗り越えられるのか?③

今週も週末返上で委員会の仕事。委員会の関連書類を読むことは時間と心に余裕を持って取り組むと結構面白いものです。いろいろと学びもあり、仕事から脱線してググっては「なるほどぉ」と感心したり、将来的にこういうことをやりたいなと想像を膨らませたり。どうせ仕事をするなら、楽しく学んで。ではでは、ブログのつづきです。

その四:ゆっくり丁寧に喋る

大学の教員になって数年した頃、大学院時代の友人でマレーシア出身の彼と会う機会がありました。お昼ご飯を食べながらいろいろ話していると、彼が「英語すごく上達したよね」と一言。自分では気が付きませんでしたが、授業で場数を踏み、ゆっくり丁寧に話すことを意識した結果だなと思いました。

大学の先生は特に早口でしゃべる人が多いですが、その勢いに合わせる形で英語をしゃべろうと思っても自分が焦ってしまうだけです。そんな時は意識してゆっくり喋るように心がけています。昔は相手の勢いに押されて「早くしゃべらないと!」、焦ることが多々ありましたが、なんせ早くしゃべれないし、英語がめちゃくちゃになるので、今はとにかくゆっくり丁寧にです。

授業中も学生からの口早の質問に、ついついこちらも反応してしまいそうになる時があります。が、そんな時は落ち着いてゆっくり丁寧に喋ることを意識しています。何かコンセプトを説明していて、言葉がうまくでないとき、説明がうまくできないとき、そういう時日本語だったらうまくごまかせるのかもしれません。でも、英語では無理です。ゆっくり頭の中を整理して丁寧に話すしかありません。

聞く方としてもアクセントがある英語を早口でしゃべられると理解に苦しみます。大学院生の時にティーチングアシスタントとして生物学実習を教えていましたが、僕よりはるかに英語がうまいインド系の大学院生の言っていることが分かりにくいと学生が不満をもらしていました。

英語はインドでは公用語です。だから彼らはものすごく早口で英語をしゃべることができる。でも、インド独特のアクセントがあるから、早口でしゃべられるとアメリカ人でも聞きにくいのです。

その五:モデルとなる人を見つけてまねをする

去年アーカンソー州立大学にセミナーで呼ばれ、発表を終えたあとに、生物学部の一人の先生からメールにて質問を受けました。「どうやって英語を練習したのですか?」と。

彼女はヨーロッパからの移民で、英語には泣かされていて今でも自信がないし、発表も苦手とのこと。肝心の発表内容についての質問じゃなく、ややがっかりしましたが(笑)、同様の苦労をしている研究者と繋がれたことは僕にとっても励みになりました。

僭越ながら彼女におすすめしたのが「モデルとなる人のまねをする」ことでした。これはある程度英語ができるようになってからじゃないと難しいですが、僕もここ数年心がけてやっていて効果があるなと感じています。

では、モデルをどう選定するのか。

それは自分で「こういう英語をしゃべりたい」、「こういう人を尊敬するな」と思う人を見つけることです。

僕が選んだのは、オバマ元大統領。

今回の中間選挙の遊説では、らしくない激しい演説が目立ちましたが(オバマさん酔っぱらってる?と本気で思ったりした)、本来彼の語り口は、穏やかで、ゆっくりで、丁寧です。しかもなんだか勇気をもらえる、おおらかさと楽天性を含んでいる。コメディアンからは「大統領の話は1.5倍再生くらいが調度よいですね」とかツッコまれるほど(笑)。

政治的手腕もさることながら、人間として魅力的で正義感に溢れた人だなと思います。尊敬するあまり、最近「A Promised Land」という分厚い回顧録まで買ってしまいました。

で、肝心なのは彼がゆっくり喋ること。ゆっくり喋るのに、早口でしゃべる人より数倍説得力がある。

ゆっくりでいいんです。そこに体温と体重を乗せることができれば。そんな自分なりのモデルを見つけることができたらきっと英語も上達するはずです。

おわり

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