学生が集中できない時 …Don’t take it personally

学生が集中できない時 …Don’t take it personally

ここ最近大学の委員会の仕事が大詰めを迎え、今朝(金曜日)3時間の委員会の会議を終えホッと一息。

という感じで、セメスターも終盤に入り、採点やら委員会の仕事やらで教員は大忙し。今日の会議で隣に座った人類学部の女性教授も「ここ最近寝る時間も十分にとれていないの」…とだいぶお疲れ。サンクスギビング休みまでのここ2週間が山場です。

忙しくてまいっているのは、教員だけではなく、学生の中にも相当疲弊している子が目につきます。担当している生物学部1年生対象のクラスには学生が25人いますが、授業中に眠たそうにしている子、集中できずについついスマホを見てしまう子、授業を休みがちな子、そして今週は授業中に退出しなければいけない子が2人いました。

一人の学生は授業の始めに僕の所へきて、最近ストレスが溜まって寝ていなくて辛いと涙を流すでないですか。もう10年以上もこの大学で教えていますが、こんなことは初めてです。寮に帰って休むように伝えました。あとでメールで確認すると元気な返事が返ってほっとしましたが、まじめな子だけになんでもなんでも背負い込んでしまう傾向があり心配です。

もう一人の子は、木曜日の授業中に母親から緊急の電話が入ったといい、退出しました。なんだかただ事ではなさそうだったのですが、お姉さんが車の事故に巻き込まれたと後から話してくれました。彼女は金曜日の午後に僕のオフィスに来てお話しましたが、お姉さんも元気で、「お母さんが一人で慌てちゃって」と笑っていました。

アメリカの大学生は本当によく勉強します。勉強しないと単位が取れないし、卒業時のGPA (grade point average)が多少なりとも就職や大学院への進学に影響するからです。もちろん授業がおもしろい!といってのめり込み勉強に励む学生も珍しくありません。

その裏で学生にも学生の生活、人間関係、健康状態の変化、があり、それが授業中に現れます。教え始めの頃には、学生が集中していないと、「自分の授業がつまらないのではないか」、「自分の英語が伝わっていないのではないか」、「何か不適切なことを口走ってしまったのではないか」と、落ち込んだり、反省したり…(苦笑)。

もちろん明らかに自分の授業がうまくいかなかったと自覚することも多々あり、昔は授業ごとにメモを取り改善に取り組んでいました。またアメリカの大学では教員に対する学生の評価制度がきちんとしているので、セメスターごと、授業ごとに数字で教員の評価がでてきます。学生のコメントつきで。そりゃー、もうドキドキしながら恐る恐る評価表をみることになるのです。

そんな苦労を積み重ねて5年位たった頃からでしょうか。学生には学生の生活があり、僕の授業の質に関わらず、その日の「調子」で集中できない時もあるのだ、と実感として納得したのは。I don’t take it personally any more as long as I try my best と腹が座ったのです。

腹が座ると肩の力を抜いて授業するのができるようになりまた。そして授業が楽しくなりました。正直今でも気が進まない日、不安になる日などがあります。そんな時には、this is one of the last classes I will teach at this universityと自分に言い聞かせて授業に臨むようにしています。

僕もいつかは引退して日本に帰る予定ですから、こうやってアメリカの大学で授業できる経験というのは一日一日短くなっていっているのです。そう思うと仕事に対する感謝の気持ち、学生にできるだけ質の高い授業を届けてあげたいという気持ちがわき上がってきます。

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