町田市小山町の尾根緑道の自然② ― しのび寄るナラ枯れ
尾根緑道の自然①で紹介したクワガタやカブトムシたちですが、樹液がダラダラと滴るシラカシの木に集まっていました。こんなに樹液がダラダラと滴っているのは珍しいです。樹液がで過ぎで、歩いているとプーンと甘酸っぱい樹液の匂いがするほどでした。
樹液が滴っているのはシラカシだけではなく、尾根緑道の沿いのコナラやクヌギの多くからも樹液がしたたり落ちているではないですか。それらの木の根元をみると、白い木くずが堆積していました。
ナラ枯れのサインです。ナラ枯れは「ナラ枯れ菌」が樹木内の組織に広がり、樹木の水の吸い上げ機能が働かなくなることで起こる現象です。その「ナラ枯れ菌」を媒介している(運んでいる)のが「カシノナガキクイムシ(通称、カシナガ)」で、カシナガの成虫が樹木内に潜る時にできる1.5㎜位の穴(穿入孔ーせんにゅうこう)から木くずが落ち根元にたまるという訳です。
町田市成瀬の自然を守る会の方からも聞いていましたが、注意してみるとナラ枯れにより夏なのに枯れているナラの木(コナラ、クヌギ、シラカシなどの総称)がたくさん目につきます。
上の写真は尾根緑道沿いで見かけたナラ枯れしたナラの木たちです。近年に全国的にナラ枯れの被害が増大しているようです。「カシナガ」も「ナラ枯れ菌」も在来種(もともと日本にいた種類)なので、外来種が日本に入ってきたために生態系のバランスが崩れたわけではありません。里山の一部として利用されてきたナラの木が利用されなくなり森が放置されることにより、老齢のナラの木(カシナガの繁殖場所)が全国的に増えたためと言われています。
尾根緑道の大きなナラの木は数年たつと倒れるようになるでしょう。すると散歩やランニングにも支障をきたしますし、景観もだいぶ変わってしまうでしょう。ナラの木に頼って生きてきた昆虫たちはどうなるのか心配です。市民の憩いの場となっている尾根緑道が、今後どう変わってしまうのか。これは他人ごとではありませんよね。
このブログを読んでくださっているみなさんも周りにナラ枯れの被害木がないか注目してみてください。その森を管理している行政担当者に連絡して、ナラ枯れ対策をどうしているのか聞いてみるのも良いかもしれません。予防方法や駆除方法はある程度確立されているようです。興味のある方は林野庁の事業で日本森林技術協会が作成したナラ枯れ被害対策マニュアルを読んでみてください。
ー 瑞樹