ダムにより分断されたオオサンショウウオたちは?

ダムにより分断されたオオサンショウウオたちは?

今週は学生たちと野外にでかけ、水力発電ダムのために上流域で孤立してしまっているかもしれないオオサンショウウオの個体群と生息地の調査を行っています(もちろん許可を得て)。

日本の河川には至るところにダムや堰が作られてて、それにより生きものたちは川を自由に行き来できなくなっているのです。分断化された生きものたちは限られた集団の中でのみの繁殖が可能になります。それを繰り返していくとゆくゆくは村(集団)の中全員が親戚状態になりますよね。つまり近親交配で個体の健康や繁殖能力が失われていく恐れがあるのです。

これはダムに流れ込む一番大きな支流ですが、ご覧のようにダムまで水が続いていません。どうやら地下を通ってわずかながら水はたどり着いているようです。これではオオサンショウウオどころかいかなる水生生物も住めません。

上流に向かって歩いていくと、水がでてきて、これならオオサンショウウオが生き残れるかも!と希望を持ったのもつかの間、こういった堰がいくつも作られ生きものたちの移動を妨げるのでした。

このような環境で完全水生のオオサンショウウオや魚たちが生き残っていくのは大変です。でも、この子たちは元気そう…

カジカガエルのペアです。大きなメスに必死にしがみついている小さなオス。オタマジャクシもたくさん泳いでいました。オタマジャクシから足が生えてエラ呼吸から肺呼吸に変わりカエルになれば、水辺から離れても生活できるし(水生の種類もいますが大抵はこんな生活史)、陸を伝っての他の水辺への移動も可能なので、彼らは大丈夫。

それでもどこかにオオサンショウウオが隠れているかもしれません(体は大きいけど隠れるのはすごくうまい)。それなので僕たちは水のある各地点から水サンプルを採取し、その中に含まれるオオサンショウウオのDNAを検知する調査をやっています。これを環境DNA調査と言います。

採水した水サンプルは宿でろ過。ろ紙からDNAを抽出して、研究室に持ち帰って分析します。どこかでオオサンショウウオが生き残っていますように!

ー 瑞樹

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