英語の壁を乗り越えるには
適度に開き直る。それが一番大事です。
大学院生としてほとんど英語を喋れずにアメリカに来て22年たちますが、言葉には本当に苦労しました。
開き直るとはどういうことか?
それは自分の英語のできなさを認めた上で、堂々とブロークンイングリッシュで会話することです。恥ずかしがり屋で、「恥の文化」の中育った日本人には難しいことですが、これができないとなかなか英語は上達しないし、コミュニケーションもうまくとれるようになりません。
アメリカ人のほとんどが英語しか喋れない中、僕らは第二外国語を話しているのですから、堂々と話せばよいのです。しかも英語と日本語ほど違う言語はなかなかない、というくらい難しい言語にチャレンジしているのですから。
アメリカ人の中には英語が喋れない外国人をバカにしたり、下に見たりする人が少なくありませんが、そんな人たちを気にする必要はありません!堂々としゃべる。「こっちは第二外国語でしゃべってるんだ、何が悪い?」位の気持ちで。
大学で授業をし始めた当初は、1回1回の授業が苦痛で仕方ありませんでした。自分より英語が上手なアメリカ人相手に英語で授業することが怖くて仕方ありませんでした。間違いもたくさんしましたし、言葉がでてこなくて教室を寒い沈黙が支配することも多々ありました。授業のあとは毎回後悔ばかりしていました。
大学で授業をし始めて1年がたったころでしょうか、気づいたのです。自分で自分を苦しめていることに。
大学の先生だろうが、僕は外国人です。外国人が他のアメリカ人の先生と同じように授業をしなくてはいけないと思う方がおかしい。自分は外国人であること、英語がうまくしゃべれないこと、をまずは認めて、それを長所に変えていこうと思うようになりました。
それからというもの、学期の一番最初の授業で自己紹介をするときには、自分は日本で育ち、27歳でアメリカに来た時には英語がほとんどできなかったこと。今でも苦労していること。日本人には、LとRの区別がつかないこと、などなど、自分の英語の弱点を面白おかしく説明するようにしています。
授業中に発音できない単語が出てきたときには、
「僕には無理。君たちアメリカ人なんだから、これ発音できるでしょ?」
と冗談っぽくふることが出来るようになりました。
「英語の学会発表はいまでもすごく緊張するんだよ」
という話をすると、あがり症の学生は親近感を抱いてくれます。
もちろん、留学生がクラスにいる時には、お互い苦労が分かる分すごく仲良くなれます。
弱点の裏を返せば、同じ弱点を持つ人の気持ちが分かる長所となる。今ではそう思えるようになりました。
そうすると、「適度に開き直る」こともだんだんとできるようになります。
でも、なぜ「適度に」なのか。それは開き直り過ぎて自分の英語の反省をしなくなった時点で成長が止まるからです。開き直ってしゃべるけど、間違えた時やうまくいかなかった時には、「あれ、まずかったな」と少し反省して次回に生かす。
そうやって22年かけて少しづつ英語を上達させていきました。
よく、「英語がすぐにしゃべれるようになる!」なんていう英会話の宣伝がありますが、ほとんどの人にとってそれは不可能です。普通の人は地道な努力を、開き直って、会話を楽しんで、重ねていくしかありません。
― 瑞樹
2 thoughts on “英語の壁を乗り越えるには”
大いに同意!「聞くだけで英語が喋れる」とか「この英文だけ知っていれば」なんて、誰がどこで実践したのか!?
瑞樹さんも苦労したのかー…。まったくそんなこと感じさせないけど、そうよね、やっぱり努力のたまものよね😭
でもでも、何年経っても覚えられない、単語も忘れちゃう、ってなると、もうこれはセンスの問題じゃ!?と、叫びたいポチでした😑